キャラメルロック

あたまのなか、あまい

高校の頃好きだった人の話

 
私が高校生の頃(といっても数カ月前のことだが)、好きだった人がいた。
彼女の書く文章がとても好きだった。
140文字の世界で暴れる彼女と、制限のない場所で思った事を綴る彼女のギャップが好きだった。
 
 
 
 
高校1年の初め頃にツイッターで初めて彼女の書くものをみた。誰かがそれをRTしていて私のタイムラインにひょっこり顔を出したのである。所謂ネタツイートのようなものだったかなあ。何だこれ面白いなと思ったのがきっかけだった。リンクが貼ってあったのでブログに飛んでそれも読んでみたりした。彼女はハンドルネームで呟いていた(しかも割と変な名前。仮にキュウリちゃんとする。)ので、プロフィールの欄から同じ高校に通っているということを何となく察したものの、本名は分からない。キュウリちゃんが鈴木栄子なのか松本美沙なのか。ネットではなくリアルの世界で自分と接点があるのかどうかも分からない。ただ、好みの文を書く人が同じ学校にいる、というだけだった。この時キュウリちゃんをフォローしていればこんな記事を書くこともなかった。

 

 
 
 
ネット社会は怖いもので学校生活もそれなりに進み、ある程度の人間関係が出来てくると、同級生同士がネットで交流していると匿名性、ハンドルネームの意味が無くなってくる。自分はフォローしていない鍵付きのアカウントも「ああ、これはE組の◯◯くんだな」とか薄々感づいてしまう。私もこんな感じでキュウリちゃんがC組に在籍する眼鏡の女の子だということを察した。1年の冬のころだった。
 
 
 
でもキュウリちゃんの顔と本名とツイッターのアカウントが一致したとしても何も始まらなかった。私は何となく気が合いそうだから仲良くなりたかった。でも人見知りが邪魔をしてくる。これが厄介。私は人見知りするものの、仲良くなるとめっちゃ馴れ馴れしく喋るという一番面倒なタイプであった。今思うと人間関係は全て受け身から始まったなあ。しかし、キュウリちゃんは待っていてもこっちには来ない。ブログの更新を楽しみにちょこちょこ覗いたりしても私の存在に気づいたりしないんだなあこれが。(当たり前だろ)
 
 
 
私は、この頃彼女のツイッターをフォローしていた。キュウリちゃんもフォローを返してくれて相互関係ができた。ネットだけの些細な繋がりだったけど私は少し嬉しかった。暫くしてキュウリちゃんがアカウントを替えた。私は諸事情によりツイッターに浮上しない時期があったためアカウントが変わったことに気づかなかった。何だかタイミングが悪くて再フォローすることが出来なかった。せっかくできた繋がりが切れたのである。また振り出しに戻った高校2年生の夏。
 
 
 
 
 
 
高校3年になった時クラス替えで、私が一番仲良くしていた友達がキュウリちゃんと同じクラスになった。席も近くてよく話をするらしく、「あいつめっちゃギャグ線高いわ〜」と私に報告してくる程だ。そんなこと私は前から知ってます。チャンスだ!と思った。友達についていってクラスに行けばキュウリちゃんと仲良くなれるかも!と。でもそう上手くは行かない。キュウリちゃんがラブライブ!のスクールアイドルフェスティバルで遊んでいたのでその話を少しした。がそれだけだった。ブログの読んでるよ。面白いね。更新を楽しみにしてる。これを伝えたいだけなのに話せなかった。情けない。
 
 
 
私は一方的にキュウリちゃんのことを知っているが、彼女は私のことを知っていたのだろうか。3年も同じ学校に通っていたのだから顔と存在くらいは知っていただろうけど私自身に関心はなかったのだと思う。そりゃそうだ。だから何も話せず高校生活が終わったのだ。
 
 
 

同じ高校に通っていていて、地元も同じだったけど、私と彼女は友達ではなかった。

共通の知り合いが何人もいたし毎日すれ違っていたけど挨拶をする仲ではなかった。
カラオケで開店待ちをしている時に会って10分くらい話したこともあったがブログの事は切り出せなかった。
 
 
 
 
 
最近キュウリちゃんのブログが更新されない。
私が勇気を出して彼女に話しかけていれば、ブログ読んでるよと伝えられていたら何か変わっていたのかなと思うと切ない。